集中力と学習効果を高める研修内容と時間配分の工夫!~「90/20/8の法則」の活用~

研修を実施するに際に、受講者の集中力と学習効果を下げてしまうことは、講師として避けたいものです。

しかし、研修が始まってから講師として行えるものには限りがあります。

むしろ、事前の研修の設計や計画の時点で、多くの部分が決まっていると言えるでしょう。

優れた講師は勝敗を決してから戦う。
優れた講師は勝敗を決してから戦う。

そこで、今回は

「集中力と学習効果を高める研修内容と時間配分の工夫!~「90/20/8の法則」の活用~」

についてご紹介します。

 

講師は、このことを理解しておくことで、受講者に与える影響が大きく変わることでしょう。

集中力が保てるのは何分か?

人の集中力が保てるのは何分でしょうか? これには、諸説が色々とあります。

例えば、以下のようなものが挙げられます。

90分、60分、50分、15分、10分・・・

これらの違いは、どうやら集中の定義や条件などによって違うと考えられます。

研修の時間配分で参考になる「90/20/8の法則」とは?

研修における、人の集中について、参考になる法則があります。

それは、ボブ・パイク氏が提唱する「90/20/8の法則」というものです。

 

概要は以下の通りです。

●人が「集中」をキープしながら話を聞ける時間

 →90分

 

●人が「記憶」を保持しながら話を聞ける時間

 →20分

 

●人が「受け身」の状態で興味をもって 話を聞ける時間

 → 8分

※中村文子、ボブ・パイク著『オンライン研修ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)を参考にしました
※中村文子、ボブ・パイク著『オンライン研修ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)を参考にしました

この「90/20/8の法則」を元に出来る工夫は以下の通りになります。

90分以内に休憩を入れる!

▼90分:「集中」をキープし話を聞ける

 → 休憩を入れる

 

この考えを元にすると、90分以内に休憩を入れたほうが良いということになります。

仮に、研修の内容が180分あったとします。

その場合、90分で区切り休憩を1回入れたり、60分で区切り休憩を2回入れるというものです。

スライド2

大学の授業の1コマが90分、高校の授業の1コマが50分であるのを考えると、経験的に納得できる時間ですね。

ずっと座って同じ姿勢でいると体は痛くなるでしょうし、当然、トイレにも行きたくなるでしょう。

疲れを防ぐためにも休憩を入れることは重要なことです。

 

どんなに長くても90分に1度は休憩を入れる。

当然、それより短い時間で休憩を入れるのはかまわないでしょう。

では、その休憩までを一区切りとした場合、その時間内はどうしたらいいでしょうか?

20分に大きな変化を入れる!

▼20分:「記憶」を保持し話を聞ける

 → 大きな変化を入れる

 

この考えを元にすると、20分以内に大きな変化を入れたほうが良いということになります。

具体的には、以下の様なものです。

 

●内容を区切り、そこまでのところを振返りなどをする。

例えば、講義が60分あったとします。

その内容を、テーマやポイントなどの内容で区切り、それを20分以内におさめます。

その後に、それに対する振返り、まとめ、整理などをするというものです。

スライド3

「エビングハウスの忘却曲線」という考えがあります。

それによると、人は情報を覚えた瞬間から、20分で約40%のことを忘れてしまうと言われています。

その点を合わせて考えると納得できる時間です。

講師が、今まで説明してきたことを整理して振返る。

或いは、設問をつくって受講者に応えてもらう。

受講者同士で、理解を確認しあうなどのことができるでしょう。

 

 

●違うもの(質疑応答、実習など)を行う

例えば、講義が60分あったとします。

その内容を、一方的な講義だけでなく、質疑応答も加えます。

スライド4

また、講義40分で実習が40分の内容であれば、それぞれを20分に分解して交互に行います。

スライド5

言い換えると、同じことを続けずに、メリハリをつけるということにもなります。

 

 

そもそも、60分間区切りもない状況が続いたら、受講者も理解が難しくなるし、飽きもくるでしょう。

一番の理想は、講義、振返り、質疑応答、実習などを効果的に組み合わせて、20分以上同じことを続けないことです。

では、この20分を一区切りとした場合、その時間内はどうしたらいいでしょうか?

8分以内に小さな変化を入れる!

▼8分:「受け身」で話を聞ける

 → 小さな変化を入れる

 

この考えを元にすると、8分以内に小さな変化を入れたほうが良いということになります。

具体的には、以下の様なものです。

●講師からの一方通行の話は8分以内にする

●受講者が主体的になれる機会を設ける

●双方向のコミュニケーションの機会を増やす

詳しくは、以下のブログで解説していますので、ご参照ください。

▼ 受講者が受け身にならず、主体的になれる工夫①!
 ~集中力と学習効果を高めるために!~

*詳細は、今後のブログで紹介する予定です。
*詳細は、今後のブログで紹介する予定です。

私が学生の頃。

授業で先生の講義が続いていると、他のことを考えて話を聞いていませんでした。

これは、私の熱意や集中力が低かったからだと思っています。

 

8分という数字が正確か、或いは人によって個人差があるかはわかりません。

でも、人間である以上は、一方的に受ける情報を集中して聞き入れ続けるには限界があります。

そのため、講師からの一方通行の講義は長く続けないほうが良いでしょう。

 

もちろん、講師としての話し方、話す内容が優れていて、受講者をひきつけることができるなら問題はありません。

でも、その自信がなければ、この考え方を考慮したほうが良いでしょう。

オンライン研修は、どうしたらいいか?

この「90/20/8の法則」は、基本的にリアル研修の時のことを想定しています。

では、オンライン研修の時はどうしたらいいでしょうか?

 

オンライン研修は以下の様な特徴があります。

・受講者は、ずっと椅子に座り同じ姿勢でいる

・受講者は、ずっとモニターを見ている

・講師からの一方通行のコミュニケーションが多い

・受講者にとって、リアル研修より受ける情報や刺激が少ない

・受講者にとって、リアル研修より周りに誘惑が多い

 

これらの事を考慮すると、オンライン研修は、より疲れやすい、より集中力が下がりやすいと言えます。

そのため、オンライン研修では、リアル研修よりも、概ね3/4~1/2ぐらいの時間を目安にするのが良いでしょう。

詳しくは、以下のブログで解説していますので、ご参照ください。

▼ 受講者が受け身にならず、主体的になれる工夫②!
 ~オンライン研修特有の進め方!~

スライド7

目安として以下の様な時間になるでしょう。

●90分 → 約67~45分

●20分 → 約15~10分

●8分   → 約6~4分

スライド8

実際に、私たちが行ったオンライン研修では、以下の様に行いました。

スライド8B (1)

つまり、オンライン研修は、リアル研修以上に、事前に内容・順番・進行などを緻密に計画する必要があると言えるでしょう。

しかし、事前に、細かく時間を管理することのデメリットはないでしょうか?

準備や計画はしつつも、臨機応変に!

確かに、あまりに厳密に時間や内容を計画し過ぎるのも大変です。

また、研修は何が起きるかわかりません。

計画した通りに実施できないこともあるでしょう。

 

更には、準備したものを、その通りに実施することだけが良い研修の条件とも言い切れません。

その時、その場、その状況に応じて、柔軟に臨機応変に内容を調整・変更するのも研修の醍醐味です。

 

準備や計画はしつつ、同時に柔軟性をもって臨機応変に対応できる様にもしておく。

そのため、以下のことを意識しておくことが重要でしょう。

●一方通行を長くしない!

●同じことを続けず、メリハリ・変化をつける!

●受講者が主体的になれる機会を設ける!

●双方向のコミュニケーションの機会を増やす!

スライド9

まとめ

それでは、今回のまとめです。

●90分以内に休憩を入れる

●20分以内に大きな変化を入れる

●8分以内に小さな変化を入れる

●オンライン研修では、これより短くする

スライド10

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川辺 晶弘

▼所属:株式会社チーム医療ラーニングS / 株式会社チーム医療ラーニング

▼資格:公認心理師 / 産業カウンセラー / ICC認定国際コーチ / ICNLP認定NLPトレーナー

▼略歴:1996年より、IT関連会社にて、法人業務支援ソフトウエアの導入・指導・営業業務など、社内において新入社員や部下の教育・指導・相談業務などを行う。2007年より、教育研修会社にて、働く人のメンタルヘルス支援業務、心理療法・コミュニケーション分野の研修の企画・開催、教材の制作業務などを行う。その間、国内外の一流心理療法家の技能と研修ノウハウを学び、現在に至る。

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