受講者が受け身にならず、主体的になれる工夫①!~集中力と学習効果を高めるために!~

研修時に、受講者の集中力が下がってしまう・・・

その要因の1つに、講師の講義が一方通行になり、受講生が受け身になってしまうことがあげられます。

一方通行
一方通行

そこで、今回は

「受講者が受け身にならず、主体的になれる工夫①!~集中力と学習効果を高めるために!~」

についてご紹介します。

 

講師は、このことを理解しておくことで、受講者に与える影響が大きく変わることでしょう。

集中力と学習効果を高める「90/20/8の法則」とは?

受講者の集中力と学習効果を高めるために役立つ考えがあります。

それは、ボブ・パイク氏が提唱する「90/20/8の法則」というものです。

 

概要は以下の通りになります。

●人が「集中」をキープしながら話を聞ける時間

 →90分

 

●人が「記憶」を保持しながら話を聞ける時間

 →20分

 

●人が「受け身」の状態で興味をもって 話を聞ける時間

 → 8分

※中村文子、ボブ・パイク著『オンライン研修ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)を参考にしました
※中村文子、ボブ・パイク著『オンライン研修ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)を参考にしました

そのため、以下の様な工夫が考えられます。

・90分以内に休憩を入れる。

・20分以内に大きな変化(振返りや復習)を入れる。

・8分以内に小さな変化を入れる。

スライド10

*詳しくは、以下のブログをご参照ください。

集中力と学習効果を高める研修内容と時間配分の工夫!~「90/20/8の法則」の活用~

 

90分以内に休憩を入れ、20分以内に振返りや復習を入れるは、講師として対応しやすい。

では、8分以内に小さな変化を入れるには、どうしたらいいでしょうか?

「受け身」とは、講師から一方的に情報提供し続けている状態!

8分とは、人が「受け身」の状態で興味を持って話を聞ける時間のことです。

つまり、「受け身」とは、講師から受講者へ一方的に情報を提供し続けている状態のことになります。

 

講師と受講者とのコミュニケーションを分解すると以下の様になります。

①講師→受講者

②受講者→講師

③講師→受講者、受講者→講師

スライド1

講師からの一方的な情報提供は8分以内に!

まず「①講師→受講者」について考えてみましょう。

このケースの多くは、いわゆる講師の講義に当たるでしょう。

つまり、受講者にとっては「受け身」の状態となります。

 

そこで注意すべきことは、以下のことです。

"一方的に講師から話をする時間を適切なものにする。"

つまり、受講者が「受け身」の状態で興味をもって話を聞ける8分以内にするということです。

スライド2

受講者が主体的になれる機会をつくる!

次に「②受講者→講師」について考えてみましょう。

ここで、以下の様な機会を設けるとよいでしょう。

・受講者が主体的になれる

・受講者が発信・発言する

・受講者が実施・行動する

スライド3

では、この様な機会を設けるには、どうしたらいいでしょうか?

これらに該当するものは沢山あるでしょう。

参考までに、私たちが利用しているものを紹介したいと思います。

 

まずは、受講者にとって、深く考えなくてもよいものとして以下のものがあります。

 

●注意、連絡事項などに同意してもらう

スライド4

●挙手してもらう

スライド5

●理解度や進行ペースの具合に答えてもらう

スライド6

次に、受講者にとって、ちょっと考えてもらうものとして以下のものがあります。

 

●問いかけや質問をして、考えてもらう

スライド7

●課題、クイズに答えてもらう

スライド8

そして、ここからは、20分以内に大きな変化を入れるで、紹介したものも含めてお伝えします。

*詳しくは、以下のブログをご参照ください。

集中力と学習効果を高める研修内容と時間配分の工夫!~「90/20/8の法則」の活用~

大は小を兼ねるが当てはまる場合が多いためです。

 

●アイスブレイクを行ってもらう

スライド20

自己紹介を行ってもらう(受講者同士で自己紹介してもらう)

スライド21

疑問点、不明点などを 質問してもらう

スライド9

意見、感想、アイディアなどのコメントしてもらう

スライド10

振返り、まとめ、整理などをしてもらう

スライド11

実習、実技(セルフワーク)を行ってもらう

スライド12

実習、実技(グループワーク)を行ってもらう

スライド13

体を動かす実習、実技を行ってもらう

スライド14

ここで気を付けることは、受講者の心理状態に合わせて、これらを行うことです。

講師との関係性ができていない場合、初対面の人が多い場合など、受講者にとっては不安や緊張など心理的な抵抗があるからです。

その様な場合は、受講者にとって比較的やりやすいもの、抵抗が低いものから行っていくことがポイントです。

また、受講者同士が仲を深めることができる自己紹介やアイスブレイクなども効果的です。

最初は浅く、そして徐々に深めていくことが重要なポイントになります。

受講者の主体性を活性化させるには?

そして、「③講師→受講者」についてです。

「②受講者→講師」において、受講者が主体的になれる機会を設けました。

これでも十分ではあります。

しかし、受講者の発言や行動に対して、講師は何かしらの対応・反応をしたほうがよいでしょう。

スライド19

それは、受講者の主体性を損なわない様にするためです。

違う言い方をすると、受講者の主体性を活性化させるためです。

 

初めて会った人同士の場、大勢の人が集まる場。

そして、講師がずっと一方的に話していて、受け身の状態が続いていた場。

その様な研修の場において、受講者が何かしらの発言や行動をすることは勇気がいる場合が多いからです。

更には、受講者が自身の発言や行動に対して、不安や心配を持っていることもあるからです。

 

そのため、講師は、受講者の発言や行動に対して、感謝を伝えること。

そして、肯定的な内容を中心にフィードバックすると良いでしょう。

スライド15

もちろん、嘘を言ったり、お世辞を言ったりすることとは違います。

受講者の発言や行動の中に、実際に存在するものを見つけて、それを伝えるということです。

発言・行動した受講者は、「言って良かった・・・」「やって良かった・・・」と思うでしょう。

スライド22

そして、周りにいる受講者も、「これなら安心だ・・・ 自分も!」と思うでしょう。

 

また、何かしらの具体的な答えを必要とされることもあるはずです。

例えば、受講者の質問に対する応答をする。

或いは、受講者の個別な状況や問題に対して、情報やアドバイスをする等です。

その際は、的確に、具体的に伝えることが重要です。

スライド16

当然、この③では、「講師→受講者」だけで終わらないこともあります。

その後も「受講者→講師」と双方向のコミュニケーションが続くこともあるでしょう。

これこそが、本や動画などの学習方法では行うことができない、研修の特徴・長所でもあります。

研修は講師と受講者の相互作用で進展するもの!

更には、受講者の様子、反応、理解度といったものも講師は考慮する必要があるでしょう。

そして、その後の対応・進行・内容を柔軟に調整・変更していくことも時には必要になります。

 

具体的には、以下の様なことが考えられます。

・疑問点を質問してもらう

・詳細や事例を加える

・ペースを遅くする、早くする

・内容を減らす、増やす、変える

スライド17

当然、研修とは講師と受講者との相互作用で進展していくものです。

それこそが研修の醍醐味と言えるでしょう。

そもそも、受講者のスキルアップや成長を目的とするなら、受講者に合わせて調整するのが講師の仕事です。

講師が用意したものを、講師の都合で、講師から一方的に伝える。

その様な研修にならない様に、気をつけたいものです。

まとめ

それでは、今回のまとめです。

▼講師は、以下の様な機会を設けること。

●受講者が主体的になれる

●受講者が発信・発言する

●受講者が実施・行動する

スライド18

▼ メールニュースご登録のおすすめ

今回のブログはいかがでしたか?

もし今後もご笑覧いただけるのでしたら、弊社のメールニュースをご登録ください。月イチで最新ブログ情報をお届けします。

https://www.iryos.co.jp/mailnews/

※ 研修関連(研修実施者/受講者サポート)に☑してください。

kawabe

川辺 晶弘

▼所属:株式会社チーム医療ラーニングS / 株式会社チーム医療ラーニング

▼資格:公認心理師 / 産業カウンセラー / ICC認定国際コーチ / ICNLP認定NLPトレーナー

▼略歴:1996年より、IT関連会社にて、法人業務支援ソフトウエアの導入・指導・営業業務など、社内において新入社員や部下の教育・指導・相談業務などを行う。2007年より、教育研修会社にて、働く人のメンタルヘルス支援業務、心理療法・コミュニケーション分野の研修の企画・開催、教材の制作業務などを行う。その間、国内外の一流心理療法家の技能と研修ノウハウを学び、現在に至る。

→ 弊社とスタッフの紹介はこちら