もう悩まない! エイブ・ワグナー直伝、講師が取るべき重要なポスチャー(体の姿勢)3選

このブログでもご紹介してきた通り、研修にも様々なスタイルがあります。そして、リアル研修またはハイブリッド研修を行う場合、講師として座りっぱなしということはあり得ません。立って歩いて受講者と関わり、と講師としての立ち居振る舞いが求められます。

 

とはいっても講師としてのキャリアを積み始めたばかりの方にとっては、人前に立つこと自体大きなプレッシャーを感じることでしょう。

 

・良い内容の研修を提供する以前に、自分は講師としてどのように受講者の前に立てばいいのか?

・もっと小さなサイズに分解するなら、「気をつけ」の姿勢で立てばいいのか、「休め」の姿勢で立てばいいのか。

・何かを指し示すジャスチャーやボディランゲージは自然にできても、それ以外の時はどうしていればいいのか?

 

もしかしたら、ベテラン講師の中にも研修中の自分のポスチャー(体の姿勢)について意識していない方もいるかもしれません。

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そして、どのようなポスチャーを取るかによって、自分自身はもちろん受講者にも様々な影響を与えることをご存じですか?

常にどのようなポスチャーでいるかによって、よい研修をさらによりよい研修にできるとしたらいかがですか?

 

そこで今回は、

もう悩まない! エイブ・ワグナー直伝、講師が取るべき重要なポスチャー(体の姿勢)3選

をお届けします。

 

リアル研修やハイブリッド研修など、受講者に生身の姿をさらす講師の方には知っておいていただきたい内容です。

講師としてのポスチャーを意識することで、自分にとっても受講者にとってもよい影響を与えることができます。あなたの研修がパワーアップすること間違いなしです。

エイブ・ワグナー先生とは?

エイブ・ワグナー先生は米国はコロラド州デンバーを本拠地として、マネジメント、コンサルタント、著述、講演など幅広く活躍していた研修講師です。

エイブ・ワグナー&アソシエーツの代表取締役として、世界中の企業に効果的な組織変革のためのトレーニングを提供していました。

エイブ先生の顧客はフォーチュン500社と言われるアメリカのトップ企業や、世界中の企業、政府団体です。

 

特にエイブ先生のコミュニケーショントレーニングは、交流分析(Transactional Analysis:TA)という心理療法と、神経言語プログラミング(Neuro Linguistic Programing:NLP)というメンタルテクニックを組み合わせたユニークなものでした。

それもそのはず、エイブ先生はもともとITAA(International Transactional Analysis Association:国際TA協会)の教授会員としてプロフェッショナルであり、TAの世界的発展に貢献した方として受賞するような著名な方だったからです。

エイブ・ワグナー先生
エイブ・ワグナー先生

この写真の印象の通り、笑顔がチャーミングでかつレクチャーはエネルギッシュな素敵な先生です。2000年代は毎年のように日本にお呼びして、企業の風通しがよくなるようなコミュニケーション研修を行っていただきました。

 

「ササーキ、新しいジョークを聞きたいかい?」

身振り手振りを交えたジョーク連発の楽しい研修で、来日するたびに新しいジョークを聞かせてくれました。

特に「エネルギー溢れる研修をどうオリエンテーションするか」「レクチャーしている内容を自ら体現するという講師の在り様」について多くを学ばせていただきました。私の師匠の一人、大好きな先生のひとりです。

 

そんなエイブ先生も2020年に現役引退宣言をされて、今は悠々自適の生活をされています。

講師が取るべき重要なポスチャー3選

今回ご紹介するのは、「講師としてよりよいパフォームをするにはどうすればよいか」という研修において、私がエイブ先生から直接学び、そして実践していることです。

ここでは特に、講師のポスチャー(体の姿勢)について、大切な3つを取り上げます。

1.立体的に見えるように

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講師は片足に重心をおいて、受講者に対して斜めに立つ、というのがエイブ先生の考えです。

その理由は、「受講者から立体的に見えるようにするため」とのこと。そうすることで、受講者は講師に対して、無意識的に奥行や厚みのある存在感を感じます。

 

また、片足に重心をおくというのは他にも良い効果があります。

両足を開き等分に体重をかけている、いわゆる「休め」の姿勢は、バランスが良いように見えて実はそうでもありません。

試しに両足に重心をおいた状態で、誰かに前後左右と押してもらってみてください。想像したより踏ん張りがきかないことに気づくでしょう。

では片足に重心が乗った状態ではどうでしょうか? 

 

マニアックな説明をすると、片足に重心をおくということは、その足を通して自分の中心から体重が地面に流れる一本の軸ができるということです。これはバランスを取る上でとても大切なものです。

(両足に重心をおくと、自分の中心と地面の間には股の間の空間しかなくなります)

体のバランスは心のバランスにつながっています。どんなベテラン講師でも、ペットボトルの上で片足立ちして研修することになったら、いつも通りのパフォーマンスは行えないでしょう。

 

片足立ちして体のバランスを整えることは、余裕と自信をもって研修を行うための心のバランスももたらしてくれるでしょう。

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2.完全に背を向けない

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研修に白板—ホワイトボードを使う方もいらっしゃるでしょう。ポイントを書いたり、受講者からの発言をメモしたり、分かりやすく図示したり、様々な使い方をされていると思います。

 

エイブ先生はそのホワイトボードの使い方にも考えがあります。

「ホワイトボードに何かを書くときは、ホワイトボードに面と向かって書かない。つまり、受講者に完全に背中を向けないこと」

小、中、高校の頃を思い出してください。私たちに完全に背を向けて板書していた先生がいましたよね。あのようにはしない、ということです。

 

ではどうしたらよいのでしょうか?

「右からでも左からでもそれは状況次第。何にせよホワイトボードに対して体を斜めにして、講師の姿が受講者の目に入るようにして書き、書いている姿を受講者に見せるようにする」

これは、完全に背中を向けてしまうことで、受講者とのコネクションが切れてしまわないようにするためだそうです。

また、講師にとっては、板書の目的が「板書をすること」ではなく「板書を受講者に見せること」だと意識するために、受講者が目に入る体勢で板書するとよいとのことです。

 

エイブ先生は背が高いので、ホワイトボードの上辺に片手をもたせかけて、体の正面を斜めにこちらを向けて、振り向き振り向き板書していた姿が思い出されます。

内容を口に出しながら板書することも大切と言っていました。板書の最中無言になることがないように、と。

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3.人物ごとに立つ場所を変える

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もしあなたが講師なら、必ず何らかの事例を話す機会がやってくるでしょう。そして、事例を話すときは、物語のように生き生きと、事例に登場する人物を演じながら話した方が、受講者に届きやすいということは同意していただけるのではないでしょうか。

さて、その事例に登場する人物が二人以上、さらにその二人が会話する状況となったら。受講者にわかりやすくお届けするにはひと工夫が必要です。

 

エイブ先生はこう言います。

「人物がコミュニケーションしている事例、デモンストレーションをする場合は、各人物ごとに立ち位置を移動すること」

 

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「……Aさんが『ほんとですか?』と言いました。するとBさんは不満げに『ほんとですよ。疑うんですか?』と。それに対してAさんは……」

と説明しても、よほどの演技力でもなければ受講者は徐々に混乱していくでしょう。

 

なにも俳優になれとエイブ先生は言っているわけではありません。

ただ、Aさんが話すときはAさんの場所からBさんに向かって、

Bさんが話すときはBさんの場所からAさんに向かって、

ちょっと横に動くだけでよいので、空間的なメリハリをつけた方がよいということです。

 

それとは別に、講師としての「あなた」が話す場所もしっかりと固定します。こうすることで、受講者は今はあなたが話しているのか、それとも「あなたが話す事例の中の話」なのかが明確になります。

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まとめ

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国際的コミュニケーター、エイブ・ワグナー先生から教わった「講師が取るべき重要なポスチャー3選」は次の通り。

 

1.受講者に対して立体的に見えるように立つ

2.板書をするときは受講者に完全に背を向けない

3.コミュニケーションのデモをするときは人物ごとに立ち位置を変える

 

 

これらの内容があなたの研修を豊かにする手助けになったら嬉しいです。

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佐々木 啓

▼所属:株式会社チーム医療ラーニングS / 株式会社チーム医療ラーニング

▼資格:公認心理師 / ICC認定国際コーチ / 同国際チームコーチ/同国際ライフコーチ / ICNLP認定NLPトレーナー

▼略歴:1998年より、教育研修会社にて心理療法研修のマネジメントに従事。国内外の一流心理療法家の技能と研修ノウハウを学ぶ。10年間の修行の後、2008年から自らも講師として活動を開始。現在に至る。その人の特性や課題に最もマッチしたアプローチを、多種多彩な心理療法から選んで構成する研修やコーチングが強み。「不健康な状態で行う思考の質などたかが知れている」を信条に、まず個人の心身を整える実習やエクササイズが得意。

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