受講者の学習ストレスを減らす! 受け取られやすい情報提供の仕方① 伝え方の構造を工夫する 編

新しい仕事、新しい習慣、新しい人間関係……。私たちは慣れないことを行うと居心地の悪さを感じます。

ではなぜ慣れ親しんだ職場、行動、人間関係はあなたを安心させるのでしょうか。

それは、自分がどのように振舞えばよいかよくわかっているからです。

これから何が起こるか分からないという状況は、自分が思っている以上にストレスを感じさせます。

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研修もそんなことの一つです。

慣れない場所に行き、知らない人と隣り合わせて、内容によっては初めて見聞きすることを学ぶ……。

受講者は有形無形のストレスにさらされています。

そんな中、私たちは少なくとも「学ぶこと自体のストレス」を減らすための工夫はできます。

では具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか?

 

そこで今回は、

受講者の学習ストレスを減らす! 受け取られやすい情報提供の仕方

その1 伝え方の構造を工夫する 編

をお届けします。

 

これらに気をつけることで、受講者の学びのストレスを低減して研修内容を受け取ってもらいやすくなるでしょう。

伝え方の構造とは?

受講者の「学ぶこと自体のストレス」を減らすための工夫については、このブログでも扱ってきました。

例えば、

コミュニケーションの質・量を高める

研修の「実施方法」と「内容」をマッチさせる

集中力と学習効果が高まるように時間を配分する

などです。

 

今回の工夫は「構造化」についてです。

人は物事や時間を構造化したい、つまりある枠組みを作りたいという心理を持っています。

構造化することによって、あれとこれ、あの後にこれ、これの先にあれ、などのように区別や予測がつけられるようになるから。つまり、安心できるからです。

構造化
構造化

そして、人によっては構造化されていない=予測がつかない時間を過ごすことは大きな苦痛です(始まった途端に自由時間ですと言われたパーティを想像してください)。

研修も全く同じです。今は全体のどこにいるのか、この先何が起こるのかが分からないままで研修を受け続けることは、受講者にとっていらぬストレスを与えてしまうでしょう。

ですから、研修もある構造をもって受講者に情報を伝える、「伝え方の構造」が必要なのです。

講師が工夫すべき伝え方の構造 4選

今回ご紹介するのは、私たちが実践している受講者の「学ぶこと自体のストレス」を軽減させるための伝え方の構造です。

特に大切な4つを取り上げます。

1.研修の全体像を示す

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“開始時間になったらいきなり内容に入った”

みなさんもこんな研修を受講したことがあるのではないでしょうか。

そしてどぎまぎして面食らったのでは?

 

研修なのだから時間になったら研修が始まるのは当たり前のことです。

ではなぜ私たちはこのような研修に面食らうのでしょうか。

そう、それは研修の構造を示していないから。予測がつかない時間を過ごすことになるからです。

 

受講生にとってまず必要なのは、この研修はどのような構造をもっているのか、そして、今は全体のどこにいるのか、という情報です。

これがクリアにならないと、受講者は意識的、無意識的に大きなストレスを抱え、学びに使えるリソースが少なくなってしまいます。

 

以下、コーチングの研修を実施したと想定して例を示します。

研修冒頭には「研修の」全体像を示す必要があります
研修冒頭には「研修の」全体像を示す必要があります
学びの内容を示すことで受講者に気持ちの準備をしてもらえます
学びの内容を示すことで受講者に気持ちの準備をしてもらえます
それをどのように学んでいくのか。1テーマづつ提示していきます
それをどのように学んでいくのか。1テーマづつ提示していきます

2.今どこにいるかを示す

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全体像を示しても、研修が進んでいくうちに受講者はこう思います。

“あれ、今やっているテーマは全体のどのあたりだっけ? 今までとどのようなつながりがあったんだっけ? このあと何があるんだっけ?”

これらのことが脳裏をよぎるのはほんの一瞬のことで、意識しているかどうかもわかりません。

ですが、「自分が今どこにいるのか」という構造化がなされていないと、人は確実にストレスを感じます。

 

受講者がより学びに集中できるよう、講師はテーマが切り替わる際に「いまはここ」というロードマップを示してあげるとよいでしょう。

ではこのテーマに移ります、という感じで
ではこのテーマに移ります、という感じで

3.まとめの時間を取り、整理する

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今どこにいるのかを示すのはもちろん構造化ですが、このテーマはここまで、というピリオドを示すのも構造化として大事なことです。

受講者は情報を一塊にして理解、整理、格納して、改めて次の話に移っていけるからです。

ですから、一つのテーマが終わるときはそれを明確に示しましょう。

そして、ついでに導入したことをまとめてあげれば、受講者の理解を促進するので一石二鳥です。

つまりこういう話でした、という構造化です
つまりこういう話でした、という構造化です

4.理解度を確認し質問の時間を取る

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内容を構造化して、学びやすいよう、受け取りやすいように研修を進めることは大切です。

ですが、それは手段であって、目的は「受講者に内容を理解してもらうため」です。

構造化して情報をお渡ししても、中身を理解していないのに次へ、次へと研修が進んでしまったら、そこにストレス(と不満)を生じさせてしまうでしょう。

 

要所要所で理解度確認と質疑応答を入れること。これも構造化の大切な要素です。

要所要所で理解度確認、質疑応答の時間を取りましょう
要所要所で理解度確認、質疑応答の時間を取りましょう

まとめ

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人は構造化されていない=予測がつかない時間を過ごすことは大きな苦痛。

そのようなストレスを受講者に与えないように、研修も「伝え方の構造」に沿った情報の提供が必要。

主な工夫は4つ。

1.研修の全体像を示す

2.今どこにいるかを示す

3.まとめの時間を取り、整理する

4.理解度を確認し質問の時間を取る

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佐々木 啓

▼所属:株式会社チーム医療ラーニングS / 株式会社チーム医療ラーニング

▼資格:公認心理師 / ICC認定国際コーチ / 同国際チームコーチ/同国際ライフコーチ / ICNLP認定NLPトレーナー

▼略歴:1998年より、教育研修会社にて心理療法研修のマネジメントに従事。国内外の一流心理療法家の技能と研修ノウハウを学ぶ。10年間の修行の後、2008年から自らも講師として活動を開始。現在に至る。その人の特性や課題に最もマッチしたアプローチを、多種多彩な心理療法から選んで構成する研修やコーチングが強み。「不健康な状態で行う思考の質などたかが知れている」を信条に、まず個人の心身を整える実習やエクササイズが得意。

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