コミュニケーションの質・量を高める! オンライン研修における「講師の見せ方」5つの工夫
あなたがどのような研修スタイルを選んだとしても、必ず気を配らなくてはならないことがあります。
それは受講者とのコミュニケーションです。
特に「オンライン研修」はコミュニケーションが講師側からの一方通行になりがちで伝わりにくく、受講者の様子・本意、場の空気が把握しにくいというデメリットがあります。
さらに、オンライン研修は、受講者の得られる情報の質・量ともに、リアル研修と比べて低くなっています。
では、コミュニケーションが一方通行かつ質・量ともに低いオンライン研修を実施する際に、どのようにすればいいのでしょうか?
そこで今回は、コミュニケーションの質・量を高める! オンライン研修における「講師の見せ方」5つの工夫についてご紹介します。
ちょっとした工夫ですが、意識することで受講者により伝わりやすいコミュニケーションを取ることができるでしょう。
■ 動画版
人間は五感、つまり視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚を使って情報を処理しています。そして、コミュニケーションも情報処理です。
私たちは誰かとコミュニケートするとき、視覚、聴覚はもちろん、触覚、嗅覚、味覚も総動員しています。
それらの感覚を使っているから「あの人とは肌が合う」「胡散臭い人」「あの人になめられている」という心象が浮かぶわけです。
それに対して、オンライン研修は、PCやスマホの画面の映像と器機を通した音声に限定されたコミュニケーション。つまり視覚と聴覚のみのコミュニケーションです。
視覚情報、聴覚情報は質・量ともに使っている機材に左右されます。
例えば、受講者がスマホなどの小さい画面で研修に参加している場合は、スライドの内容や講師の身振り手振りが見えづらいことがあります。
講師のマイクの質/受講者のスピーカーの質が悪く、音声が聞き取りにくいことがあります。
インターネットの通信環境によって映像や音声の遅れが出る場合もあります。
オンライン研修では、必ずしも受講者のカメラをオンにしておく必要はありません。むしろ、リラックスして研修に参加してもらうために、カメラを切ることを推奨する場合もあります。
また、研修中に参加者の声を拾わないよう、マイクを切っておくこともお願いするでしょう。
そうなると、講師は受講者の情報をほとんど、もしくはまったく得られないことになります。
また、受講者の反応や理解度がわかりづらいと、研修は一方的な進行、対応になりやすくなります。
オンライン研修時、あなたの目の前の画面には受講者の姿が映し出されているかもしれません。私たちはいつものように、受講者の顔に向かって話しかけがちです。
ですが、私たちの姿を受講者に届けるのはWEBカメラや内蔵カメラです。画面に映った受講者の顔を見る私たちの姿は、受講者からは「自分の方を向いていない姿」に映ります。
リアル研修の受講者は「大勢の中の一人」という感覚でいます。そのため、講師が自分を見ていない状態は当たり前だと思えます。それに対して、オンライン研修の受講者は、仮に受講者が100人いたとしても受講しているのは「自分ひとり」です。カメラを見ずに話すと「講師は自分に話しかけていない」と思われてしまいます。
オンライン研修を行う際は、画面ではなくカメラを見て話しましょう。もちろん、受講者の反応を確認するためにカメラではなく画面を見るなどはその限りではありません。
通常カメラはPCやスマホの上部についています。そのカメラの位置を自分の目線の高さに合わせるなどの調整をしましょう。
目線の高さを合わせるというのは「あなたとわたしは同じ立場です」ということを意味する非言語的表現です。ちょっとしたことですが、受講者に無用の緊張を感じさせない工夫です。
また、受講者に見せたい範囲がカメラのフレームに収まっているか確認しましょう。例えば自分の顔が見切れずに映っているかどうか、どの範囲でジェスチャーをすればカメラに収まるか、など。
マスクをしている人の言葉を聞き取るにはいつもより集中が必要です。これは、マスクで声が小さくなるから、という理由だけではありません。
私たちは人の発話を音声だけではなく口の動きを見ながら判断しています。仮に聞き取りにくい言葉でも、前後の文脈と口の形を読んで「ああ、○○と言ったのか」と会話を続けられるのです。この作業は無意識で行っているので、私たちは視覚を使って人の声を聴いているとは思っていません。
このように、発声時の口の動きをはっきりさせることで、視覚を使って言葉を届けることができます。逆に言うと、ただでさえコミュニケーションが取りずらいオンライン研修でもごもごしゃべっていたら、伝わるものも伝わりません。
同様に、普段より表情を豊かに大きく表現することも大事です。
表情はあなたのメッセージを届ける乗り物になります。つまり「このメッセージをどのように受け取って欲しいか」を表情を使ってサポートできます。素晴らしいアイデアを届けるならそれにふさわしい輝いた表情で、シリアスなテーマを届けるならそれにふさわしい鹿爪らしい表情で、ということです。
また、会話中の非言語的応答も意識して増やしましょう。同意を示すうなずき、感心したことを示すハイブロウ、疑問に思っていることを示す眉の寄せ方など、内容と表現方法が一致した時、メッセージは伝わる力をより増します。
受講者はあなたの一部、画面というフレームで切り取られた部分しか見えません。ですから、そのフレームの中でコミュニケーションの質と量を増やすためには、非言語的コミュニケーションが重要になります。
非言語的コミュニケーションとは、言語=言葉以外の手段を用いたコミュニケーションのこと。例えば、今までに挙げた顔の表情や視線、身振り、手振り、体の姿勢、話しぶりなどのことです。
私たちは言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションをマッチさせています。「一つ目は」と言いながら指を一本立てたり、ドライブの話をしながらハンドル操作のジェスチャーをしたり、二つの事柄を比べるのに両手を天秤のように使ったり。なぜならそれは自然なコミュニケーションの方法だからです。
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佐々木 啓
▼所属:株式会社チーム医療ラーニングS / 株式会社チーム医療ラーニング
▼資格:公認心理師 / ICC認定国際コーチ / 同国際チームコーチ/同国際ライフコーチ / ICNLP認定NLPトレーナー
▼略歴:1998年より、教育研修会社にて心理療法研修のマネジメントに従事。国内外の一流心理療法家の技能と研修ノウハウを学ぶ。10年間の修行の後、2008年から自らも講師として活動を開始。現在に至る。その人の特性や課題に最もマッチしたアプローチを、多種多彩な心理療法から選んで構成する研修やコーチングが強み。「不健康な状態で行う思考の質などたかが知れている」を信条に、まず個人の心身を整える実習やエクササイズが得意。