宮本武蔵も『五輪書』に書いている!? オンライン研修で意識したいヒミツの姿勢
オンライン研修は、コミュニケーションが講師側からの一方通行になりがちです。
そして、受講者はリアル研修と比べて、得られる情報の質・量ともに低くなっています。
そこで、講師ができる工夫のいくつかをご紹介しました。
→コミュニケーションの質・量を高める! オンライン研修における「講師の見せ方」5つの工夫
突然ですが、宮本武蔵という剣豪がいました。
名前しか知らなくとも、二刀流や佐々木小次郎との「巌流島の決闘」くらいは耳にしたことがあるでしょう。
では、その宮本武蔵が実践していたことが「オンライン研修ならではの工夫」に役立つかもしれない、としたらどうでしょうか?
そこで今回は、宮本武蔵も『五輪書』に書いている!? オンライン研修で意識したいヒミツの姿勢についてご紹介します。
これを意識することで、オンライン研修実施時に自分を良い状態に保つことができるでしょう。
■ 動画版
カンペル平面とは、歯科の領域で使われる用語です。
「鼻の下と耳の穴を結んだ線で作られる平面」と理解しておけばよいでしょう(正確には鼻下点から耳珠点を結んだ線により構成される平面)。
つまりこの線で作られる平面です。
そして、このカンペル平面を地面に対して水平に保つことで、目、耳、鼻、口などの感覚器が機能的に働く頭のポジションになるという考え方があります。
まずは試してみましょう。
カンペル平面を地面と水平にする私のやり方をご紹介します。
1.手のひらを下にして、親指を耳の穴に、その他の指を伸ばし鼻の下に当てる
2.(感覚的に)手のひらが地面と水平になるまで顔を上げる
3.バレエでいう「胸で見る」ようにする。そうすると背筋が伸びて顎だけ突き出した感が無くなる
以上です。普段の姿勢とカンペル平面を地面と水平にした姿勢(以下「カンペル水平姿勢」と呼称)で、どのような違いが感じられるでしょうか?
(得られる効果は後ほどご紹介します)
「カンペル水平姿勢」はどこででもできることです。
では、それがなぜ「オンライン研修ならではの工夫」になるのでしょうか。
その理由は、オンライン研修では、講師は「カンペル水平姿勢」を保ちやすいからです。
リアル研修では、講師は様々な方向に顔や体を向ける必要があります。
自分は立っていて、受講者は座っている。そのようなときは下方を向かなくてはなりません。
また、自分も受講者も座っていて同じ高さにいたとしても、受講者一人一人に視線を合わせたいところです。
このように様々な方向を向くたびに、講師はその都度「カンペル水平姿勢」を整えなければなりません。
それに対して、オンライン研修では、講師が視線を向けるのは基本的にカメラへの一方向のみ。
ということは、カメラの高さや位置を調整しておきさえすれば、一度整えた「カンペル水平姿勢」を保ちやすいということです。
「カンペル水平姿勢」は、目がもっともリラックスして真正面を見ることができる姿勢です。
人によっては、「カンペル水平姿勢」はかなり顔が上を向いている感じがするかもしれません。
それは、いかに私たちが「顎を引くのが良い姿勢」と教わってきたかを示しています。
「カンペル水平姿勢」の目の位置がナチュラルなものだとすると、いわゆる「良い姿勢」で正面を見ていたのは、実は下からねめつけた視線、上目遣いだったことになります。
つまり、目に余分な力が入っていたということです。
目の緊張が取れれば顔の緊張が取れます。
つまり、表情が柔和になります。当然、受講者に与えるイメージはよくなります。
それに、顔が緊張していなければ表情を豊かに大きく表現することもできます。
また、一音一音はっきりと発声することができるので活舌がよくなります。
成人の頭の重さは約4~6㎏あります。この重さを背骨や首、肩、背中の筋肉が支えています。
そして、首が前に傾くほど頭の重さの数倍の負荷が、特に頸椎にかかります。
体の緊張は精神の緊張につながっています。適切な姿勢でこの負荷を支えないと、研修時あなたのパフォーマンスを低下させてしまうかもしれません。
そこで「カンペル水平姿勢」です。この姿勢を取ることで、頭の重さを体全体で支えることができます。
身体に余計な緊張がなければ、自分を良い状態に保って研修を実施することができるでしょう。
自分を良い状態に保つことに役立つ「カンペル水平姿勢」。それに古人も気づいて活用していたとしたらどうでしょうか?
というわけで宮本武蔵です。
彼は晩年に自分の経験と工夫をまとめた『五輪書』という兵法書を著しました。
その一巻に「水の巻」があります。これは武蔵が立てた流派「二天一流」の一対一での太刀の遣い方についての巻です。
その中から「一、兵法身なりのこと(兵法における身体の姿態のこと)」という一節を見てみましょう。
身のかかり、顔は、俯かず、仰のかず、傾かず、ひづまず……(中略)……うららかに見ゆる顔、鼻筋直にして、少し頤に出す心なり。
文末に「少し頤(おとがい=下あご)を出す」とあります。
少し下あごを出す。これって「カンペル水平姿勢」?
武蔵は身体の機能を十全に使える姿勢、「カンペル水平姿勢」に気づいていた!……のかもしれません。
・鼻の下と耳の穴を結んだ線で作られた平面を「カンペル平面」と言う。
・「カンペル平面」を地面に対して水平に保つこと(カンペル水平姿勢)で、目、耳、鼻、口などの感覚器が機能的に働く頭のポジションになる。
・オンライン研修は、基本的に講師が視線を向けるのはカメラへの一方向のみ。だから「カンペル水平姿勢」が保ちやすい。
・「カンペル水平姿勢」を保つことで、目の緊張が取れる、身体の余計な緊張が取れる、などの効果がある。
・かの宮本武蔵も「カンペル水平姿勢」の効果に気づいていた!……ら面白いなあ。
みなさんも「カンペル水平姿勢」を意識して、自分を良い状態に整えたよいオンライン研修を行ってくださいね。
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佐々木 啓
▼所属:株式会社チーム医療ラーニングS / 株式会社チーム医療ラーニング
▼資格:公認心理師 / ICC認定国際コーチ / 同国際チームコーチ/同国際ライフコーチ / ICNLP認定NLPトレーナー
▼略歴:1998年より、教育研修会社にて心理療法研修のマネジメントに従事。国内外の一流心理療法家の技能と研修ノウハウを学ぶ。10年間の修行の後、2008年から自らも講師として活動を開始。現在に至る。その人の特性や課題に最もマッチしたアプローチを、多種多彩な心理療法から選んで構成する研修やコーチングが強み。「不健康な状態で行う思考の質などたかが知れている」を信条に、まず個人の心身を整える実習やエクササイズが得意。