これでもう怖くない! 研修における質問の受け方・答え方-その2 質問しやすい場づくりの工夫 編

現代は情報が満ち溢れています。そのような中、あえて「研修」を行う意義の一つに、講師と受講者、受講者同士のやりとり、つまり双方向コミュニケーション、コール&レスポンスがあります。

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さて、研修における双方向コミュニケーションにおいて重要なのが質疑応答の時間です。

「良い質問の答えは良い研修をつくる」という言葉もあるくらいです。

 

ですが、講師として活動している方の中にも

質問に上手く答えられるか不安……」

「質問が終わっていないのについ答え始めてしまう……」

「質問がない時の沈黙の時間に耐えられない……」

「どうやって答えてよいか分からない……」

という方もいらっしゃるようです。

 

そこで今回は、

これでもう怖くない! 研修における質問の受け方・答え方

その2 質問しやすい場づくりの工夫 編

をお届けします。

 

オンライン研修、リアル研修、どちらにも応用できる内容です。

質疑応答の時間をより良いものにすることで、あなたの研修がパワーアップすること間違いなしです。

質疑応答に関してはさまざまな視点で語ることができます。

そこで、このテーマをいくつかに分けてお届けします。

・なぜ質疑応答が大切なのか

・質疑応答をすると何が起きるのか

・何を準備すれば活発な質疑応答になるのか

・良い質疑応答のために、どのように質問を聞き、どのように答えればよいのか

 

今回の「質問しやすい場づくりの工夫 編」は

・何を準備すれば活発な質疑応答になるのか

に当たります。

 

・なぜ質疑応答が大切なのか

・質疑応答をすると何が起きるのか

は、満足度の高い研修と質疑応答 編 をご覧ください。

活発な質疑応答のために私たちができること

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私たちは満足度の高い研修を作るために、受講者から質問を引き出し、効果的な応答をしたいと思っています。

もちろん質問するもしないも受講者次第です。しかし、ただ待っているだけではそれ以上のことは起きないでしょう。

では、質疑応答の時間が活発になるために、私たち講師はどのようなことができるのでしょうか。ここでは二つ取り上げたいと思います。

① 質問しやすい場づくりをする

② 質問を受け付ける機会を多く設ける

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質問しやすい場づくりをする

多くの研修は一期一会です。

「自分が質問していいのか……」

「こんな質問して何と思われるか……」

「うまく質問したいことが伝えられるか……」

初めて出会う人々の中で、このように思っている受講者の方も少なくないはずです。

 

質問したい、でも質問しづらい。そのように思わせてしまう研修にならないよう、「質問しやすい場」をつくるための工夫をご紹介します。

1.質問に肯定的な意味づけをする

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「質問は知性の証である」

これは国際的NLPトレーナー、エグゼクティブコーチであるジョセフ・オコナー氏の発言です。

質問とは「自分がまだ理解していないこと」を理解していないとできない行為です。それはまた、自分が必要としていることが分かっているということでもあります。ですから、質問とは無知の表明ではなく知性の証なのです。

オコナー氏はトレーニングの冒頭に必ずこのように話します。

これは、あなたがた受講者の内面はどうあれ、私は「質問は知性の証だと思っていますよ」という枠組みの提示です。このような質問に対する肯定的な意味付けは、質問をしやすくするだけではなく、質問を聞くその他の受講者にも肯定的な影響を与えます。

 

また、

「人が疑問を感じるポイントは十人十色。あなたの質問は誰かの考えもしなかった視点を開くかもしれません。他の受講者のためにも、ジャンジャン質問してください!」

私と川辺はこのような意味付けをして研修を始めることが多いです。

このように、質問をして欲しいことを伝えることは活発な質疑応答の第一歩です。

2.質問を受け付けるタイミングや機会を伝える

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何事にも準備というものがあります。いつ質問を受け付けるのか、どのように質問すればよいのか、これらを明確に示さないと、受講者は質問のために疑問や質問を抱くことが難しくなるでしょう。

 

・いつ、どのようなときに質問してよいのか

(質疑応答の時間を設けるのか、それとも質問したくなったらいつでも良いのか)

・オンライン研修だったらどのように質問するのか

(挙手ボタンを押すのか、いきなりマイクで話すのか、それともチャット入力か)

・講師はどのようなタイミングで質問に答えるか

(その都度答えるのか、状況によってはその時答えないのか)

 

これらは研修の冒頭でアナウンスしておくのが親切です。

3.小グループでのディスカッションから始める

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では質疑応答の時間になったとします。もちろん状況にもよりますが、初めての質疑応答の時間は質問が出にくい傾向があります。

質問したいことはある、だけどみんなの前で質問するのは恥ずかしい……。だったら「みんなの前」ではなく「みんなで」話してもらいましょう。

受講者を小グループに分けて、内容の確認、自分の意見、ここがもう少し知りたい、などなどについて話し合ってもらいましょう。オンライン研修ならブレイクアウトルームも活用できます。そして、その話し合った内容を誰かに発表してもらいます。

これは受講者、講師ともにメリットがあります。

 

受講者にとって:

グループ内で発言することで「発言すること」に慣れ、質問をしやすくなります。

また、みんなの質問なので自分ひとりで質問するより気が楽なはずです。

講師にとって:

受講者がどのような感想を持ち、どのような体験をしているのか知ることができます。

4.ユーモアを使う

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質問しやすい場づくりとして強力なのかユーモアを使うことです。

別にあなたにコメディアンになって爆笑を取れと言っているわけではありません。受講者がクスリとして軽い気分になり、「講師がそういうならそれに乗っかって質問しよう」という気になってくれればいいのです。

 

例えば……

・「私のレクチャーが完璧すぎて疑問点がない、ということですね」

・「もうすべて理解したということですね? では私から質問するのでどなたか答えてください」

・「皆さんに質問があるのは分かっています。私はいつまでも待ちますよ」

・「こうして黙っている時間も私の講師料に含まれています。楽でいいですね」

・(小グループのディスカッションの後に)「大分盛り上がっていましたが、研修と関係のない雑談だったのでしょうか?」

 

思い出してください。受講者が質問しやすい/しにくいを判断する重要度第一位は「発表者が親しみやすい」でした(→ 満足度の高い研修と質疑応答 編 )。そもそもあなたが受講者との間にユーモアを使える関係性を築いておかないと不発に終わるでしょう。

また、これらの発言と同時に、明確な「これは冗談ですよ」という非言語的メッセージを発さないと、ただの受講者を煽る講師です。注意しましょう!

5.質問したかったことを思い出させる

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受講者からの質問を待っている間に、今までの研修の内容を振り返って話すということもできます。

「……今日はAから始めましたね。それからBについて、そうそう、CとDが大切ということも話しました……」

自分自身思い出すように振り返りをしている中で、受講者も「そうだ、それを訊きたかったんだ」と質問したかったことを思い出すかもしれません。

6.質問がなければ次のテーマに移ることを示す

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いつまでも質問を待っているわけにはいきません。無理やり質問させればよいというわけでもありません。

質問がなければ次のテーマに移ることを伝えましょう。バーゲンセールのように時間を区切ることで、質問を促す効果も期待できます。もし受講者が慌てて質問してきたら応えてあげましょう。

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質問を受け付ける機会を多く設ける

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受講者が質問しやすい場を整えたところで、質疑応答の時間がなければ質問の仕様がありません。

受講者に沸き上がる疑問や好奇心をとらえるために、質問できる機会を多く設けましょう。

 

・可能な限り、コンテンツごとに質問の時間をとる

・最後には研修を通しての総合質問の時間をとる

まとめ

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・活発な質疑応答のためにできる工夫がある

・質問しやすい場づくりのために、以下のことができる

1.質問に肯定的な意味づけをする

2.質問を受け付けるタイミングや機会を伝える

3.小グループでのディスカッションから始める

4.ユーモアを使う

5.質問したかったことを思い出させる

6.質問がなければ次のテーマに移ることを示す

・質問できる機会を多く設ける

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佐々木 啓

▼所属:株式会社チーム医療ラーニングS / 株式会社チーム医療ラーニング

▼資格:公認心理師 / ICC認定国際コーチ / 同国際チームコーチ/同国際ライフコーチ / ICNLP認定NLPトレーナー

▼略歴:1998年より、教育研修会社にて心理療法研修のマネジメントに従事。国内外の一流心理療法家の技能と研修ノウハウを学ぶ。10年間の修行の後、2008年から自らも講師として活動を開始。現在に至る。その人の特性や課題に最もマッチしたアプローチを、多種多彩な心理療法から選んで構成する研修やコーチングが強み。「不健康な状態で行う思考の質などたかが知れている」を信条に、まず個人の心身を整える実習やエクササイズが得意。

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