これでもう怖くない! 研修における質問の受け方・答え方-その3 効果的な質疑応答のための4つのプロセス(質問を聴く) 編
現代は情報が満ち溢れています。そのような中、あえて「研修」を行う意義の一つに、講師と受講者、受講者同士のやりとり、つまり双方向コミュニケーション、コール&レスポンスがあります。
さて、研修における双方向コミュニケーションにおいて重要なのが質疑応答の時間です。
「良い質問の答えは良い研修をつくる」という言葉もあるくらいです。
ですが、講師として活動している方の中にも
「質問に上手く答えられるか不安……」
「質問が終わっていないのについ答え始めてしまう……」
「質問がない時の沈黙の時間に耐えられない……」
「どうやって答えてよいか分からない……」
という方もいらっしゃるようです。
そこで今回は、
これでもう怖くない! 研修における質問の受け方・答え方
その3 効果的な質疑応答のための4つのプロセス(質問を聴く) 編
をお届けします。
オンライン研修、リアル研修、どちらにも応用できる内容です。
質疑応答の時間をより良いものにすることで、あなたの研修がパワーアップすること間違いなしです。
質疑応答に関してはさまざまな視点で語ることができます。
そこで、このテーマをいくつかに分けてお届けします。
・なぜ質疑応答が大切なのか
・質疑応答をすると何が起きるのか
については、満足度の高い研修と質疑応答 編 を
・何を準備すれば活発な質疑応答になるのか
については、質問しやすい場づくりの工夫 編 をご覧ください。
今回の「効果的な質疑応答のための4つのプロセス(質問を聴く) 編」は
・良い質疑応答のために、どのように質問を聞き、どのように答えればよいのか
についてご紹介します。
さて、受講者から質問を引き出すために、前回ご紹介した「質問しやすい場づくりの工夫」が功を奏したとしましょう。
つまりあなたが
① 質問しやすい場づくりをして、
② 質問を受け付ける機会を多く設ける
ことによって、受講者が活発に質問をしてくれるようになった、としましょう。
さあ、質疑応答の最後のプロセス、講師が質問に答える番です。
ですが、研修の質疑応答に関しては、
「質問に上手く答えられるか不安……」 つまり気持ちの問題
「どうやって答えてよいか分からない……」 つまりやり方の問題
といったお悩みを持っている方もいらっしゃいます。
それでは、受講者に満足してもらえるよう質問に答えるにはどうしたらよいか、気持ちとやり方の両面から見ていきましょう。
受講者から質問を受け取った時に、まずあなたがしなければならないことは「自分の状態のチェック」です。
「?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、よく考えてみるとこれは当たり前のことなのです。
もしあなたが質問の受け答え、質疑応答に何らかの困難を感じているのなら、次のことを自問自答してみてください。
「瞬間的に、エレガントに、すべての質問に対して完璧に答えなくては」と思っていませんか?
もしそう思っているなら、その必要は全くありません。
なぜなら、私たちは質問に対して瞬間的に答える必要も、エレガントに答える必要も、完璧に答える必要も、すべての質問に答えを持っている必要もないからです。
むしろそのように思うことは当然緊張を生じさせ、質問に答えることを難しくさせます。
(もちろん瞬間的に、エレガントに、完璧に答えられたら素晴らしいですし、それを目指して自己研鑽することはまた別の話です)
それに、受講者はそのような講師の完璧なふるまいを望んでいるわけでもありません。ほとんどの質問者は自分の知りたいことについて質問しているだけです。
だから私たちは、親しい友達に答えているかのような心持で質問に答えればよいのです。
だからまず必要なのは自分の状態をチェックすること、そしてリラックスしているかどうか確認することです。
これは質問の受け答えに限ったことではなく、研修をとおして必要なことでもあります。
あなたは、どのようなあなたなりの自分の状態を良くする方法を持っていますか?
それらを使って、効果的な質問の受け答えができるように自分を整えましょう。
さあ、実際に受講者から質問がやってきました。良い状態のあなたは質問に耳を傾けるわけですが、多くの方が意識せず飛ばしてしまうプロセスがこの「質問の内容を確認する」です。
・質問を最後までよく聞く
(質問がまだ終わっていないのに早合点して答えた後、「そういうことではなくて……」という経験はありませんか?)
・整理、要約して確認する
(質問を最後まで聴いても、自分が理解した内容と受講者の訊きたい内容が合致していないと見当違いの答えになってしまいます)
・回答するには情報が足りない場合は補う質問する
(「質問を質問で返すのはよくない」とまことしやかに言われています。が、相手を理解するための質問、相手のニーズにこたえるための質問は当然するべきです)
・質問してくれたことに対してお礼を言う
(これも忘れがちなことです。質問をしてくれるということは、研修にコミットしているということ。そのことに感謝しましょう。)
では、例題の質問があったとします。
講師としては質問を最後まで聴き、自分の理解と質問者の訊きたいことが合致しているかを確認します。
質問自体はシンプルですが、私だったらどのように答えたらよいか少し迷うところです。
ですから、逆に質問者に質問してみることにします。
「質問に対して十分にお答えしたいのでお訊きするのですが、どのようなお答えを望んでいるのでしょうか? 例えばその考え方を補強する別の何かについて知りたいのか、それともその考え方に関して疑問な点があるとか」
「そうですね、良い研修を作るには良い質疑応答以外にも要素があるのではと思うのですが」
「なるほど、良い質疑応答さえできれば本当に良い研修になるのか、という疑問があると、それに関して聞きたいということでよいですか?」
「そうですね」
質問者の訊きたいことがこれで確認できました。
「分かりました。ありがとうございます」
質問してくれたことに対してお礼を言います。
3.質問に答える
と
4.○○○○を○○する
については次回ご紹介します。
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佐々木 啓
▼所属:株式会社チーム医療ラーニングS / 株式会社チーム医療ラーニング
▼資格:公認心理師 / ICC認定国際コーチ / 同国際チームコーチ/同国際ライフコーチ / ICNLP認定NLPトレーナー
▼略歴:1998年より、教育研修会社にて心理療法研修のマネジメントに従事。国内外の一流心理療法家の技能と研修ノウハウを学ぶ。10年間の修行の後、2008年から自らも講師として活動を開始。現在に至る。その人の特性や課題に最もマッチしたアプローチを、多種多彩な心理療法から選んで構成する研修やコーチングが強み。「不健康な状態で行う思考の質などたかが知れている」を信条に、まず個人の心身を整える実習やエクササイズが得意。